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キーウで2025年7月31日、反汚職機関をめぐる法案の採決が行われた国会周辺でデモに参加する人々=AP

 ウクライナのゼレンスキー大統領は7月31日、最高会議(国会)が可決した反汚職の2機関の独立性を回復させる法律に署名した。独立性を制限する法律が成立してからわずか9日。支援国からの批判に加え、国民の不満が顕在化して軌道修正を迫られ、政権運営の痛手となった。

 焦点となっていた機関は、汚職を捜査する「国家反汚職局」(NABU)と、訴追権限を持つ「反汚職専門検察」(SAP)。既存の司法・捜査機関から干渉を受けずに活動するが、国会は7月22日に、両機関を大統領が人事権を持つ検事総長の指揮下に置く法案を突然可決した。ゼレンスキー氏が即日署名すると、「政権幹部、与党議員らの汚職が防げなくなる」との批判がわき起こった。

 その直後からキーウの大統領府周辺でのデモに数千人が集まり、抗議は各地に拡大。2022年のロシアによる侵攻開始以来の「戦時体制」下で、政治デモが原則禁止されているウクライナでは異例の事態だった。ウクライナを支える欧州連合(EU)や主要7カ国(G7)からは強い懸念が示された。

 ゼレンスキー氏は署名翌日の…

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